
第2は、農地面積に関しては、新しくこれから耕作可能な農地はほとんどありません。戦後50年間に、世界の新しい農地のフロンティアはほとんどなくなり、今後は今ある耕地をつぶさざるを得なくなります。我々の社会が近代化してくると、工業化が進む、都市化が進む、その中で、学校、工場、病院、道路の建設用地として、現在の耕地面積をつぶしていかなければならない。 今以上に農業生産性を上げることは困難だし、農地の絶対量も減っていることを考えると、これからの農業生産性の動向は、今まで期待したようなことはほとんど不可能ではないだろうか。 そこで1つの期待を持つのは、バイオテクノロジーですが、このバイオテクノロジーも本当に期待できるかどうかわからないというのが現状です。実験室では、かなりの効果が現れてきているが、人類のこれからの増加に対して、それを養っていけるような、革命的な農業の食料生産が可能だろうか。可能になるようなバイオテクノロジーというものがあるかどうか、非常に不安です。 私はこの点に非常に重点をおいて考えています。バイオテクノロジーは大いに研究していかなければならないが、我々が考えている期間のうちにこれらができあがるかどうかが問題で、人口の面から考えますとこの「時間の制約」という考え方が出てきます。 1985年から2025年までの40年間は、毎年の世界人口の増加分は、約8500万人です。この水準のまま40年間増えていくと今後30年間で約40億の増加になる。2025年まであと30年。この30年足らずの時間が、我々人類がこれからもこの地球上で生きていけるかどうかを決める正念場ではないかと思います。この間に、マイナスの点を補うような食料生産を可能にするバイオテクノロジーの完成が可能かどうか。30年間でそのバイオテクノロジーが完成しないと、きわめて悲観的に考えざるを得なくなります。 現在、1995年の世界人口が57億ですが、2025年には80億を超えます。80億の人口は、それから25年経つ2050年には100億になるのですが、1OO億まで考える必要はないと思います。 私どもは、今から30年後の、世界の人口の大きさ80億と、毎年追加される人口、約8500万人の人々に、学校の教育、職業、住宅などを供給していかなければなりません。人口は毎年増え続けます。30年後、総人口は80億を超える。 いったい地球で暮らしていける人口はどのくらいが限度か、我々専門家も大変関心のあるところです。様々な意見があり、その中の1つに、80億人が地球が支え得る最大隈の人口ではないだろうかという意見があります。 人間1人の生存に必要な農地面積をO.04haとして、地球の耕作可能な土地面積で割るとおよそ80徳となる。これは、きわめて単純な1つの算出方法に基づいた計量だが、その他の方法を用いた場合にも、地球人口80億人というのは限界だと考えられるので
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